流星ワゴンをよむ

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

重松清の本を読んだのはこれで2冊目。現代日本の親子関係というテーマは相変わらずな感じなんだけど、どれを読んでも内容に大差ないというところが逆に手にとりやすくて好きです。もちろん内容が悪くないからこそというのもあるわけですが。
作り話を書く以上、リアリティーとの間合いをどう取るかというのは小説の面白さを決めるとても重要な要因だと思う。その点、重松清はその間合いの取り方に親近感が持てる。(上手だとはあまり思わない。細かい表現とかもわざとなのかどうか知らないけど気が利かない言葉づかいが多いように思った。)
感覚的には2、3個とんでもない設定を作ってあとは順当に話を組み立てている感じ。比較するならば例えば、昔触れた小川洋子とかはぶっ飛んだ設定や流れがたたみかけてくる感じで文章の響きで勝負しててそれが面白いわけなんだけど(よく知らないが多分こういうスタイルが文学として正統的なんだとも思う)個人的にはそういう小説は読むのに気力がいる。重松清は気力が要らない。つまらないといえばつまらないけど、感動したり興奮したりしない分、日常に馴染む作品だと思う。