割引現在価値と機会損失

東洋経済オンラインから
専業主婦は、「億ション」よりも贅沢だ
専業主婦の給与所得の機会損失は大きい割に軽視されがち、というごもっともな記事なんですが、億ションより贅沢とはちょっと盛りすぎじゃないかなぁー。根拠となる文章は以下の部分だと思うのですが

国税庁が発表している「平成24年民間給与実態統計調査結果」によると、正規従業員として働く女性の平均給与は349万円です(役員を除く)。女性の平均初婚年齢は28.8歳ですので、30歳から定年までの30年間、平均給与で働き続けると仮定すると、1億0470万円。つまり専業主婦になるということは、働いていればもらえたはずの1億円をフイにすることにほかならないのです。

まず単純な話、仮に1億470万を損失額としても一番安い億ションと同じくらいの金額なので億ション「より」というのは無理があると思う。一番安い億ションと同じくらい、ですね。
さらに庶民が億ションを実際に買う場合はローンを組むでしょうから当然金利も支払う必要があります。仮に自己資金1千万(金持ちな庶民ですが)で1億円の物件を変動金利35年ローンで購入したと仮定した場合、金利が幸運にも(日本経済的には不幸ですが)現状維持だった場合でも年間返済額は3,846,480円だそうです。(みずほ銀行ローンシミュレーションより)
大体借入額の5割程度の金利を払う必要があるわけです。だいぶ専業主婦がお安く見えてきました。
さらにリアルなことを言えば、庶民にまともな銀行は9千万貸さないので、実際買うにはもっと(相当)金利の高いヤバい業者から借りる必要があるので、現実にやろうとしたら金利負担はこの試算から激増すると思われます。
さらにもう一点、働くことによる家事労働や子育てに関するコスト増が無視されています。金額換算が難しいですが、外食やクリーニング代に始まり、子供と過ごす時間の喪失などお金で買えないものまで様々なコストが発生します。これらは1億470万円から差し引かれる必要があるわけです。
これらの要素を考えるとやはり億ションより贅沢は無理があると思います
記事はタイトルが命なのでこういうことになるんでしょうが、そうは言ってもあまりに無茶な煽りはストップがかかると思うのでこれが「無茶」と判定されない読者を舐めた(あるいは正当に評価した)姿勢が成立する、読者の経済リテラシーの低さが嘆かわしいですね。
個人的な経験を省みても、長期の話をするときに金利、インフレ率や機会損失を無視するのは当たり前、それを得意気に都合のいい要素だけを選んで説明する金融関係の営業マン、、など枚挙に暇がないですな
やってることは基本四則演算なので中学校の社会科とかでやればいいのに、と思うのは少数派なんでしょうね。あ、でも記事の論旨自体はまったく正しいし、政治経済系の醜悪なやつよりは全然善良だとは思いますが。

追記:配偶者控除もでかいことに気付いた。。いいかげん勝負になってないですね