原発事故は天災か

原発事故周辺住民への損害賠償、国も負担へ
東電、社員の年収2割カットを労組に提案
「社長もここに住んでみろ」謝罪に避難者怒声
原発事故を起こした東京電力に対する政府・世論の対応が興味深い。原子力損害賠償法の例外規定を認める方針という一個目のニュースでは政府が今回の事故に関して一定の天災性を認めたといえると思う。一方、2個目、3個目のニュースを見ると直接の被害者や社会的圧力としてはあまり今回の事故に民間企業の不祥事以外の要素を認めていないように見える。
個人的には被害者はともかく世論の「会社で責任とれ」的な風潮はかなり違和感。理由は

  • 原子力発電という事業自体が一企業の判断で行われているものとは到底言えない。
  • 事故以前にこういった事態を危惧した世論は事実上皆無だった(みんなチェルノブイリは知っていても今の日本の電力業界のリスクなんて真面目に考えていなかった→安価で安定した電力だけ享受しておいて問題が発生したらすべて会社のせいにするには東京電力は公共性が高すぎる)
  • 今回の地震の規模は設計の想定外の規模だった(らしい)
  • ほかの電力会社ではなく東京電力原発が被害にあったのはどう考えも偶然。また、ほかの電力会社より東京電力原発の安全管理が劣っていたという調査結果が(今のところは)あるわけでもない。

関西電力でも九州電力でもなく東京電力の社長だけが土下座して怒声を浴びているのは運の差にしか僕には見えません。
もっと言えば航空会社やJR、建設、製薬、、まあなんでもいいんですが他の業界だって今東電みたいにならずに済んでいるのは運によるところが少なくないと思う。(少なくとも運のせいでないことに関する検証・説明はされていない。社会もそれを求めない。まあ当たり前ですが)
義援金を喜んで送り、補償金に税金が投入されるのを憂う、、人の感情って難しいですね。
もちろん、東京電力にまったく責任を取らせないのは道徳的にも政治経済的にも間違いだとは思いますが、世間的な落としどころが僕個人の感覚とかけ離れてるなあとは感じるのでした。