理科離れ

友人が理科離れについて語っていた。ぼくもこの話題には興味があるので少し書いておく。
試しに以下の主張を考えてみる。

  1. 理科離れが進んでいて、これにより将来的には日本が衰退する
  2. 理科離れか進む原因は以下のものが考えられる
    1. 現代の科学技術が難解で親しめない
    2. 社会的に見てエンジニアの地位が不当に低い
    3. マスコミ等で描かれる理系のイメージが悪い

まず理科離れが進んでいるのは事実と仮定してその原因を考えてみる。
2.2(社会的に見て〜)と2.3(マスコミ等〜)は現在の社会環境が、優秀なエンジニアの輩出を妨げていると読める。しかし僕はそうはあまり思わない。理由は、仮にエンジニアのイメージや地位が向上しても「優秀な」(へっぽこな技術者がたくさんでてきてもダメですよね?)技術者の輩出量にはあまり影響がないと思うからである。例を挙げる。
英語が喋れる人は日本ではイメージもよく地位も比較的高い。英語教育に国家単位で力を注いだり、英会話学校が駅前でしのぎをけずるのはここ十数年のトレンドだ。
このように英語を取り巻く社会環境は向上し続けているのに日本人の英語力が劇的に向上した、とか世界を代表する(まあ、せめて非英語圏を代表する)通訳や翻訳家などが有意に多く輩出されるようになったという話は聞かない。
英語と理科が同じように語れるとは限らないが、学習環境を整えることによる効果には限界があり、日本の教育環境はどの分野においてもすでにかなり整備されているので、環境整備はいまの日本では効果が薄いと僕は考える。
(ちなみに今のエンジニアの社会的地位が妥当かどうかは難しい問題だが、すくなくとも理科離れが幸いにも食い止められエンジニアの数が膨れ上がれば普通、エンジニアの地位はさらに低下するだろう)
以上のような理由で、僕は理科離れの原因の多くを2.1の科学技術のとっつきにくさに求める。
現代の科学技術は、「無知な人に訴える」ことが非常に重視されている。数学も物理も分からない人でも使えるからこそ車やパソコンは多くの人から支持された。多くの人に支持されるものを作るのが科学技術の使命であろう。このように現代の社会のしくみそのものが理科離れを作り出す構造をしているのである。
かっこよく言えば、理科なんて気にしないで済む社会をみんなが望み、それを理科が実現したのです。

思った以上に長くなってしまったので、理科離れが進むと本当に日本が衰退するか?については機会があったらまた考えるということで。。
(これを考えないと意味のある理科離れ対策も考えられないと思う)