たとえ話の誤謬

ヘソクリ半減、小遣いなし…「ノダ家」破綻寸前
国家や会社の財政を家計に例える説明はよく見かけますが、真面目な記事として捉えるならこればひどい例の決定版だと思う。
年収400万の家に毎年数百万ずつ何十年も貸してくれる銀行は普通無い。借りられる理由は貯金(資産)が一億円近くあることや地球上最高レベルの信用力があるからなんだろうけどその辺はスルー。
資産1億、年収400万で借金が8千万の家は破綻寸前でしょうか?さらにこの「家計」は収入(税収)コントロールしたり金利や為替に影響を与える行動を取ることも可能なんです。
そんな家計あるわけないので結局は国家の財政を議論するのに「家計」を比喩として使うのは無理があるということだと思う。単に収入がいくら、支出がいくらというだけの例えであればOKだけど、「だから破綻寸前」と言った瞬間に悪質な詭弁になる。まあ最近この例えはこういうロジックのためしか使われてるところ見ないけど。
物事を説明するときに身近なものに例えて説明するというのはそれ自体はとてもよいやり方だけど、例えるものと説明対象は別物な以上必ず例えとして成立しない部分がある。その範囲を意識して無理のない範囲で説明する分には問題ないんだけど、人間はバカで横着なので比喩として成立していない特性の存在を無視したり、逆に類似性がいくつかあるだけで他の部分についても類似性があるかのように読み取ってしまう傾向がある。そこを意識的に悪用する賢い人や無意識的にはまっているバカな人がいたり。。という話なんだけど。
日本はとてもすごい国だと思うけど、こういう記事がこういうメディアにこういうトーンで掲載されるところは嫌ですね。それとも詭弁でもなんでもいいから財政危機を煽って増税議論を後押しするのが日本を代表する全国紙たる読売新聞というメディアの使命なんでしょうかねー。